れる。之に反してハムレットを語るために沙翁を語るならば今度は沙翁が per accidens に、そしてハムレットは per se に取り扱われるであろう。もし神[#「神」に傍点]を理解するためにそれに付随して偶然に空間が問題となるならば、そしてその限り空間の問題が解かれるならば、之によって明らかとなるものは、空間の性格ではなくして実は神の性格でなければならない筈である*。無論偶然に解くことによっては問題が全く解けないと云うのではない。却ってそれが一応解かれ得るが故に解き尽し得たかのように思い做す危険を人々は有つのである。偶然は性格を逸する、それが見当違い[#「見当違い」に傍点]である。このような誤解の最も一般的なものは、一つの哲学的体系を組織するのを目的として、その視点に立って空間概念を云わば義務的に取り入れるか、又は之を利用する態度である。かくすれば空間は例えば論理的範疇[#「論理的範疇」に傍点]として説明[#「説明」に傍点]されたり、或いは光として説明[#「説明」に傍点]されたりすることが出来る**。――処が吾々は空間を他の何物かによって説明[#「説明」に傍点]するのではなくして
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