々は概念を以て世界やその認識を説明しようとは空想しない。それは恐らく形而上学か認識論の仕事であろう、併し吾々の仕事ではない。体系を組み立てるのに必要なものは総合[#「総合」に傍点]である。故に吾々に必要であったものはこの総合ではない。ではなくして正に分析[#「分析」に傍点]でなければならない。吾々の方法[#「方法」に傍点]――それは体系ではない――は分析的[#「分析的」に傍点]であった。処でこのような分析とは何であるか。そう問われる。単に分析だけを引き離して解釈することは吾々には出来ないであろう、何となれば吾々にとっては分析は常に概念の分析[#「概念の分析」に傍点]なのであるから。
人々が普通何かを説明すると云う時、之を吾々の言葉に引き直して云うならば、実は概念の分析を理想としているに外ならない。そして普通単に分析と呼ばれるものも常に概念の分析でなければならない。「商品の分析」は実は商品概念の分析に外ならないであろう。なる程、商品概念を分析するのではない、商品そのもの[#「そのもの」に傍点]を分析するのである、と人々は云うかも知れない。併し商品ダイヤモンドを分析すると云っても、その結
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