念はこのようにして成立[#「成立」に傍点]する。それは過程[#「過程」に傍点]を有つ。そしてこの過程は歴史社会的制約に於てある。動機とはこの歴史社会的過程[#「歴史社会的過程」に傍点]に外ならない。この動機を忘却する時、この概念は解体されて了うであろう、何となればその成立[#「成立」に傍点]の過程が踏みはずされることになるから。そのようなものが概念の構造[#「構造」に傍点]である。さて概念が成立するものとすれば、それはもはや単に与えられることは出来ない。それは与えられた既定の事実ではなくして、成立せしめるべく課せられた一つの要求[#「要求」に傍点]であるであろう。現に吾々は単に所有しているだけでは或る概念を使いこなすことは出来ない、それを活用し得るためには、その概念の云い表わす要求を、課題を、吾々が会得していることが必要である。――概念は所有されているものではなくして常に発見[#「発見」に傍点]されて行くものである。
概念は動機を有った。処が概念とは性格の理解であった。茲に動機と性格との関係が問題となる。性格が概念成立の動機となる、性格が動機づける[#「動機づける」に傍点]、之によっ
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