由を有たない*。
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* 概念とはそれでは要するにイデーであるのか、と人々は尋ねるかも知れない。けれどもイデーは理念[#「理念」に傍点]としても観念[#「観念」に傍点]としても概念[#「概念」に傍点]としても意味を有つ。その問いは問題を単純化する代りに混乱させるに過ぎない。それに又イデーという術語[#「術語」に傍点]を以て吾々の概念を説明することを求めること自身が、無意味である。
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 人々は最後の疑問を提出し得るかのように想像するに違いない。それはこうである、なる程概念をそのように「あれもこれも」を意味するものと仮定するのは勝手であるが、少くとも理論的な概念と情意的な夫とを区別するには区別の標準がなくてはならないが、その標準が再び従来用いられて来ている「概念」の有無によって与えられるのではないか、と。人々がこれを理由として吾々の概念――それは吾々が仮構したものではなくしてただ吾々が日常生活に於て指摘した事実に外ならない――の困難を見出したと想像するならば、それは完全な誤りである。日常語としての概念の内に従来の――哲学的術
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