を表象[#「表象」に傍点]しただけで、たといそれが実在[#「実在」に傍点]する存在ではないにせよ、すでに空間概念がそこに横たわるように思われる*。そうすれば空間は明らかに実在的ではなくして非実在的――例えば表象――であると考えられそうである。処が実在しないものに関する空間表象――ケンタウロイ表象――も決して実在的でないのではない。なる程ケンタウロイの形を有った、その事実[#「事実」に傍点]を備えたものはないであろう。けれども凡そケンタウロイが形を有つと表象することはそれが実在の空間に於て形を取って存在[#「存在」に傍点]すると表象することしか出来ない筈である。例えば吾々は之をスヴェーデンボリの天国に於て表象するのではない**。ケンタウロイは実在しないが、もし実在するとすれば[#「もし実在するとすれば」に傍点]、このような形をとって存在するであろう。ということがとりも直さずケンタウロイの表象でなければならない。それは事実としては非実在的である、併し存在としては実在的である。かくて空間表象の空間は実在的である。空間が表象されるということ――表象に還元(吾々の意味に於て)されるということ――
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