もし空間が空間表象として性格づけられるのが本来であるならば、空間は意識[#「意識」に傍点]という性格を有たなければならないのである。そこで、空間の性格は果して意識であるか。
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* 〔Stumpf, U:ber den psychologischen Ursprung der Raumvorstellung〕 を見よ。
** カントの形式的直観は現象論の範疇的直観[#「範疇的直観」に傍点]の内に含まれることが出来るかも知れない(但し現象学に於ては直観と知覚とはカントに於ける意味の区別を持たない)。そうすれば空間は一つの範疇的[#「範疇的」に傍点]直観であることになるかも知れない。之に反してカント自身の言葉に従うならば、空間は感性的[#「感性的」に傍点]直観でなければならない。
[#ここで字下げ終わり]
意識という言葉の意味程不定なものはない。或る人は之によって物体に対する精神という実体を意味し、又或る人は之によって認識能力としての主観を意味する。或る時は一つの社会現象を又或る時は自覚をすら意味することが出来る。併し吾々にとって今問題となるのは
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