して常識的に数と呼んでいるもの――それは何かの内容を含む処のものである――に外ならなかった。処が数学者の数概念は之と同じではない。在るということ以外には全く無内容な所謂要素(Elemente)に一定の公理を与えて定義された一つの要素体系、之が数である。このような要素体系としての数の権利はまだ決定されていないではないか、之が残された疑問である。それ故前の問題は拡張されてこう変形される、一般に任意の要素体系―― 〔Menge, Ring, Gruppe, Ko:rper, etc.〕 ――が幾何学に於て持つ権利を決定せよ、と。併しこの新しい形の問題も数に就いては前の考察をそのまま繰り返す結果となる。何となれば右のように定義された数――それは範疇的である――も実は吾々が常識的に持っている数概念と対象としては全く同一なのであるから。けれども新しい形のこの問題は他の方面に於て一つの新しい考察を要求する。というのは数体系を外にして幾何学と密接な関係を有つ要素体系は云うまでもなく群である。問題は群が幾何学に対して持つ権利を決定することに移る。群の幾何学的図形に対する応用として屡々図形の回転が論じられ
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