property とは性質が異るが――を決定するものが平行線公理に外ならない。平行線公理は一見計量とは無関係であるかのように見えるのであるが、それへ計量に基く公理――例えばアルキメデス公理――を付加することによってそれが計量関係を支配する――例えば三角形の内角の和は二直角であるか否か――、という意味に於て計量と関係を持たずにはいられない公理である。結合や順序の公理に於ては全く場合が異るのを思い起こせばこの意味は明らかとなるであろう。平行線公理がこの意味に於ては計量的である所以は更に平行線公理と空間曲率との関係に於ても現われる。平行線公理に曲率という計量的概念を付与すると否とは自由であるが、一旦この概念を付与した以上、平行線公理は曲率の値をある意味に於て決定しなければならぬものである。一言にして云えば平行線公理[#「平行線公理」に傍点]は直角とか曲率とかいう角又は線の計量の絶対的な単位に関係するものである。さて射影幾何学と計量幾何学とを区別せしめたかの三つの公理群は何れも計量を云い表わす公理に外ならないことが明らかとなった。それ故私は一歩を進めて幾何学をば、公理に従って分類するよりも寧ろ
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