。併し計量とは何であるか。単位を以て数えられる度数を意味するとも考えられるが、単位を以て数えられるためには数えられる要素自身が予め数量的でなければならぬ。若し数量的でないならば単位を以て数えることは無意味である。それは単に数えることであって計量ではない。それ故計量とは計量される要素と数との対応而も直接の対応を予想するのでなくてはならぬ。然るに数と要素との直接の対応というべきものは数の連続に於て始めて許される。数と空間、数と時間などが直接に――一対一の関係で――対応するのはただその連続に於てのみであることを何人も知っている。であるからして合同の公理は数連続体の導入を意味することとなる。連続の公理[#「連続の公理」に傍点]はあたかも之を云い表わすものである。私は以上合同の公理と連続の公理とが立つ根本的な予想即ち、計量――数連続体をば摘出した。平行線公理は之と如何に関係するのかの問題が残っている。線の場合とは異り角の計量の場合には直角という絶対的単位が必ず存在する。この絶対的単位によって計量された対象の metrical property ――それは他の相対的な単位による metrical 
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