ヘルダーはカントやビュフォン等と同じく、少なくとも思想としては進化一般の見解に到着している。之に実証的な根拠を与えたのが、C・ダーウィンの理論だった。
[#ここで字下げ終わり]
それ故社会科学に於て正当に使われ得る根本概念=範疇は、自然科学の夫と決して直接に同じでないにも拘らず、一定の約束(云わば飜訳の文法)を介して、相照応せざるを得ないものなのである。私はこの関係を二つの根本概念群の間の共軛関係[#「共軛関係」に傍点](Konjugiertheit)と呼んでもいいと考える*。ブルジョア社会科学乃至歴史科学に於ける立場の無政府的乱立は、夫が自然科学の範疇に対するこの共軛関係を無視する処に原因するものだった。で、もしそうだとすれば、この異った而も発展段階の差を介して同一な共軛的な、社会科学と自然科学との、両者に渡る哲学なるものも亦、当然その範疇を、社会科学と自然科学とに対して共軛にしなければならぬ。唯物論に固有な技術的範疇は、社会科学の範疇と自然科学の範疇とに対して、共軛関係を持つことが出来ればこそ、初めて「技術的」でもあり得たのだった。生産技術[#「生産技術」に傍点]の問題を離れて
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