だ、生活物質の物質的生産に於ける真の意味[#「真の意味」に傍点]の生産技術ではないが)。学問も亦同じく、古来の一つの通念によれば、天才乃至何等かの人間の創造なのである。現に今日でも、学問は観念や事物の探究・発明・発見によって成り立つという側面が強調される*。だから、古典的な意味に於ける夫々の学問は、実は夫々「自由芸術」だったというわけである。
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* 科学に於ける探究・発明・発見をテーマとした研究として、J. Picard, Essai sur la Logique de l'invention dans les Sciences と Essai sur les Conditions positives de l'invention dans les Sciences とを挙げることが出来る。
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それだけではない。支那哲学や印度六派哲学やギリシア=ローマ期の哲学、又中世のカトリック神学、に於て見られる学問なるものは、それ自身が道徳的知恵か宗教的信条かに他ならなかった。道を説き教えを垂れることは、知識や認識の問題ではなく、
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