nはここに成立する。
 社会に於ける生産諸関係は、財産の所有関係[#「所有関係」に傍点]を伴って来る。今この所有関係が社会に於て、個人相互が承認すべき公共的な一関係として、意識化[#「意識化」に傍点]されると、それが法律制度[#「法律制度」に傍点]に他ならない。無論法文の外見からみれば、法律は必ずしも所有関係を規定しているものばかりとは限らないが、法律制度の本質から言えば、それは与えられた一定の所有関係を合法化すための体系[#「合法化すための体系」に傍点]でしかない(法律学[#「法律学」に傍点]の領域)。――法律制度が併し一寸見ると露骨には経済的な所有関係を示さない理由は、法律が直接にこの関係を言い表わす代りに、政治制度[#「政治制度」に傍点]という関係を通過するからである。だがこの政治こそ、一定の与えられた生産関係・所有関係を、保持し強化するための、人間行為の実践形態の一つなのである。通常の意味での政治とは、人間乃至人間群が、それが住む一定の既成の社会秩序[#「社会秩序」に傍点]を維持するために、他の人間乃至人間群を、何かの物理的威力をたのんで、支配[#「支配」に傍点]することである
前へ 次へ
全322ページ中298ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング