ヘ、著しい特色だ。だがそれにも拘らず、数学者の主観的意図に関係なく、各種の数学が客観的には物理学に用い[#「用い」に傍点]られているということは何を意味するか(計量的幾何学や解析による物理学的理論一般は云うまでもなく、其の他群論による量子力学、テンソル=カルキュラスによる相対性理論、マトリックスによる量子力学、等々)。――蓋し数学は計算[#「計算」に傍点]や測量[#「測量」に傍点]という要素的[#「要素的」に傍点]な本質から理解されねばならぬ。そうすることが、数学全般の歴史的(弁証法的)理解の唯一の道なのである。前者は算術・代数・微積分となり、後者が各種の幾何学となる。ここに実在[#「実在」に傍点]と数学[#「数学」に傍点]との、従って又自然科学[#「自然科学」に傍点]と数学との、基本的な連関が横たわる。其の他の高級乃至抽象的な数学形態は、これからの歴史的派生物に他ならない。で、そうとすれば、数学は歴史的に云って自然科学の一種と見做されることも出来るだろう。或いは、少なくとも数学をアプリオリな純形式的な科学として、之を自然科学から絶対的に隔絶して了うことは、その理由を失うだろう。
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