いうものはありようがない、とそう吐き出す様に云う自然科学者は甚だ多いが、そう云っては済せない理由を私は先に述べた。之に反して、ブルジョア社会科学などというものがどこにあるか、と嘯く社会科学者があるとしたら、彼は恐らく現下の事情に於ては沢山の証明の責を負わねばならなくなるだろう。確かにこれだけの差が、自然科学と社会科学との間に横たわっている。
[#ここから2字下げ、折り返して3字下げ]
* 党派性[#「党派性」に傍点]は本来階級性[#「階級性」に傍点]の特殊な場合を意味すべき筈である。だが実際には二つはやや場合の違った側面を云い表わす慣例になっている。階級性は主として科学乃至理論の社会的[#「社会的」に傍点]規定を指す。之は階級主観に基く何らかの主観的[#「主観的」に傍点]性質を云い表わすと一応考えられている。党派性は之に反して、科学乃至理論の、理論としての首尾一貫性、その非妥協性と潔癖と云ったような客観性[#「客観性」に傍点]・論理的[#「論理的」に傍点]規定を示すものと一応考えられている。――処が吾々によれば、この社会的規定と論理的規定とは内部的に噛み合ったものだったのだから、こうし
前へ
次へ
全322ページ中238ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング