フ検討とを中心とするだろう。
 順次に夫を見て行く。
[#改段]

  三 科学の方法(その一)


 科学の方法という問題は、近代科学論(主としてブルジョア的科学理論)の最も代表的なテーマになっている。科学方法論[#「科学方法論」に傍点]は科学論[#「科学論」に傍点]そのものの中心的な課題とされている。尤も科学論と云っても、一般的に言葉通りに、科学乃至学問に関する統一的研究と見透しであるに止まらず、実際には、単に知識[#「知識」に傍点]一般の根本理論であることもあるし(フィヒテの「知識学」)、又従って一種の論理学[#「論理学」に傍点]原論である場合もある(ボルツァーノの「知識論」乃至『科学論』)。之に反して又、特に自然や社会・歴史・文化に関する単に経験的[#「経験的」に傍点]な諸科学に於ける二三の根本問題に就いての哲学的見解を意味する場合もあるのである(リッケルトの「科学論」)。処で実はただ、この第三の場合又はそれに相当するような科学論だけが、その中心を科学方法論[#「科学方法論」に傍点]に置いているのである。
 だが科学論という言葉がそうであったように、所謂科学方法論なるものも亦、
前へ 次へ
全322ページ中111ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング