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* 技術は普通、唯物論に於ては労働手段の体系と定義される。この定義は決して充分でないが、併し少なくとも之によって、技術が客観的、物質的なものであることを強調することは出来る。――之については後を見よ。
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 科学に於ける例の知識構成[#「構成」に傍点]の組織はかくて、論理的[#「論理的」に傍点]には科学の方法[#「科学の方法」に傍点]として、社会的[#「社会的」に傍点]にはイデオロギー[#「イデオロギー」に傍点]の機構として、展開するのである。この対立する二つの契機を通って、その揚句、科学が齎すものは、科学の対象界[#「対象界」に傍点]乃至科学的世界[#「科学的世界」に傍点]である。尤も対象界と云うと、科学が模写すべき原の実在界そのものを指すことも出来るが、今は夫とは区別して、この実在界を方法とイデオロギーとの構成を通じて模写したその像[#「像」に傍点]を対象界と呼ぶ世間の習慣を、採用することとしよう。こうした像(形像)としての対象は、科学にとっての「世界」であるので、之はつまり科学的「世界像」(Weltbild)と呼ばれている処のものな
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