ニは資格として又個体として別ではあるが、批評と制作との間には本質的にはこうした連関が横たわっている。
 之は文学に於ける批評と制作との連関であるが、一般に文化イデオロギー――文芸や科学――に於ける批評的モメントと実証的モメントとの連関は、今のをそのまま拡大して考えることが出来る。で今度は諸科学に於ける批評的契機と実証的契機との連関を注意しよう。そこにも今云った限りの連関のあることは云うまでもないが、ここではそれ以上に、両者のより特徴ある連関の関係が浮き出して来る。と云うのは諸科学に於ては批評と実証とが極めて近く歩みよっているから、二つの連関は特別な相貌を呈して来るのである。――諸科学に於ける批評は、それ自身実証的な内容をもつのでなければ批評とならず、又その実証は予め他の実証的研究の批評を基礎にしない限り始められない。実証は批評的であり(例えば文献の整理・他の所説の歴史への顧慮・を必要とする)、又批評は実証的である(例えば新しい実験によって従前の実験の結果をたしかめたり覆したりする)。ここにあるものは批評的実証[#「批評的実証」に傍点]乃至実証的批評[#「実証的批評」に傍点]である。吾々
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