m#「実証性」に傍点]に求めることが出来るだろう。と云うのは、批評性は或る意味に於ける否定[#「否定」に傍点]であり、一般的には積極的な建設の反対であるが、この否定の反対としての肯定を吾々は実証性[#「実証性」に傍点](Position)と名づけておこう。オーギュスト・コントは実際、その実証主義をこうした批評主義に対立させている。分科的諸科学は、自然や歴史的社会に就いて、之を直接な生まな材料として、ひたすらに探究[#「探究」に傍点]する、それは必ずしもこの直接で生まな材料に基く諸探究を総合したり媒介したり秩序づけたりしない、要するに必ずしも批評[#「批評」に傍点]しないのである。――以上のことは、ジャーナリズムが常識[#「常識」に傍点]のものであり、之に反してアカデミズムが専門[#「専門」に傍点]のものであったことからも、至極自然に理解出来る。
 だが無論のこと、この批評性の機能と実証性の機能とは、単に今云ったように区別対立しているだけではなくて、至極複雑ではあるが、併し一定の連関関係に這入っていなくてはならない。二つのものは実は、一つのイデオロギーの二つのモメント[#「二つのモメント
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