^動情勢は取り出されずに終るだろう。こうしたイデオロギーの没論理的構造[#「没論理的構造」に傍点]を取り扱うものを、イデオロギーの社会学と呼んでおこう、というのである。
 実際、所謂――ブルジョア的――社会学[#「社会学」に傍点]が提供する社会の歴史的な又は非歴史的な諸関係形式は、その立場[#「立場」に傍点]をさえ除外したならば、弁証法的骨髄――論理的乃至論理学的原理――によって貫かれるべき社会科学[#「社会科学」に傍点]の豊富な内容となることが出来るだろうし、又そうならなければならぬのである。

 吾々は今、主に文化形態としてのイデオロギーの没論理的な歴史的社会的構造として、イデオロギーの二つの契機[#「契機」に傍点]乃至二つの形態[#「形態」に傍点]を対立せしめそして連関せしめよう。ジャーナリズムとアカデミズム。
 普通世間でジャーナリズムと呼ぶものは、大抵新聞紙[#「新聞紙」に傍点]に関係した事物を指すようである。併し云うまでもなく之は単に新聞紙又は一般に新聞現象に関係したものばかりを指すのではなくて、広く、雑誌とかキネマ・劇壇・ラジオ等々という現代に特有なイデオロギーの社会的諸
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