「[#「論理的構造」に傍点]を有つのであるから(イデオロギーはこの論理的構造を論理的価値関係――夫が論理学[#「学」に傍点]的だ――として反映するのであった)、前のイデオロギーの論理学と雖も、矢張りイデオロギー(上部構造)と下部構造との連関を明らかにすることを課題としないではいられないのであった。だから、上部構造としてのイデオロギーを下部構造との連関に於て明らかにするのは、何もイデオロギーの社会学にだけ与えられた課題なのではない。それは本来イデオロギーの論理学の課題にぞくする。
 今必要なことは、之ではなくて、イデオロギーに固有な――他の歴史的社会的諸存在から区別された――歴史的社会的構造を取り出すということなのであるが、イデオロギーに固有な歴史的社会的構造と云えば併しその精髄は論理的[#「論理的」に傍点]構造に外ならないのだが、今は却ってこうした論理的なアクセントを全く引き去って了った残留物としてのイデオロギーが有つ処の、社会的歴史的構造を取り出して、それだけ又別に[#「別に」に傍点]考えねばならない。そうしなければイデオロギーの論理学は終局的には具体化されず、イデオロギーの現実的な
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