持つというのである。
だがこの階級の歴史的優位はそれだけでは今の場合まだ何物でもない。階級[#「階級」に傍点]のこの歴史的優位[#「歴史的優位」に傍点]が階級イデオロギー[#「イデオロギー」に傍点]のイデオロギー的[#「イデオロギー的」に傍点]優位として現われない限り、今の場合の問題にはならない。処で実際この階級の歴史的優位は、この階級の――主観的な――利害の追求が終局に於て社会自体の――客観的な――利害に一致すると云うこと、それが自己の実践[#「実践」に傍点]及び観念[#「観念」に傍点]の客観的可能性[#「客観的可能性」に傍点]と一致すること、によって示される。だからこの階級の階級イデオロギーは又、この階級の――主観的な――利害に相応することによって又社会自体の――客観的な――利害に一致し得ることがその特色となる。主観的な意欲が客観的な条件を充たすのである。だがそういうことが取りも直さず、真理[#「真理」に傍点]ということではないか。之がこの階級のイデオロギーのイデオロギー的優位[#「イデオロギー的優位」に傍点]である。それはもはや階級的偏見[#「偏見」に傍点]や階級の主観性[#「
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