処の階級的偏見[#「偏見」に傍点]でしかない、夫は階級の主観性[#「主観性」に傍点]から来る虚偽意識[#「虚偽意識」に傍点]に外ならぬ、人々はよくそう云うのである。――だが無条件にそうなのではない、或る場合には、そうであるが、他の場合にはその正反対でさえある、ということを今注意しよう。
階級は社会の単なる部分ではなくて、対立的[#「対立的」に傍点]な部分である。二つの階級が並立していて、之を総括するものが社会だと考えてはならぬ(社会学者[#「社会学者」に傍点]はそういう風にしか考えないかも知れないが)。二つの階級が対立していて、この対立物の張り合いが――現在の――社会の内容をなしているのである。だから二つの階級を精々「公平」に較べて見ると、夫々が全体社会[#「全体社会」に傍点]を代表し又は夫にとって変ろうと欲している。二つの部分[#「部分」に傍点]が夫々全体[#「全体」に傍点]であることを要求する。ブルジョアジーは社会全体がブルジョア社会に止まることを欲するし、プロレタリアは社会全体がプロレタリアの独裁下に立つことを要求する、であればこそ初めて、二つの階級は対立[#「対立」に傍点]す
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