は初めから階級対立によって特色づけられていたわけである。そこで、こうした下部構造の上に――直接に又間接に――立つ筈であった社会上部構造(イデオロギー・イデオロギー形態)は、階級性[#「階級性」に傍点]によって性格づけられざるを得ない。イデオロギーは今や実は階級イデオロギー――階級的世界観[#「階級的世界観」に傍点]・階級意識[#「階級意識」に傍点]である。イデオロギー諸形態の対立は、階級性による対立だったのである*。
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* 実際殆んど凡ての場合イデオロギーとは政治的な概念である。それは革命の意識[#「革命の意識」に傍点]と関係づけられて理解される場合が多い。
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無論イデオロギーという概念を人々は勝手に都合の好いように規定することは出来る。例えば生物学的本能に動機されて一定形態の観念を持つ時、その観念はイデオロギーと呼ばれることも出来る[#「出来る」に傍点]。そういう可能性はそして無論決してそのものとして誤りではあり得ない、可能性とは誤りでないということの証拠であろう。だが誤っている点は、イデオロギーをこういう風に規定す
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