するだけではなくして、歴史の内で進歩乃至退歩するものでなければならぬ。と云うのは、知識は進歩乃至退歩によって真理への接近又は虚偽への偏向を意味しなければならない。そこで知識の社会学に於ては知識は、真理への歴史的な接近、乃至虚偽への歴史的な偏向、をなす一つの社会的存在として規定されねばならない。之が知識社会学の一般的な対象――問題――となる。シェーラーの知識社会学は処でどのような問題を解いたか。
 彼に於ては、知識は真理乃至虚偽――論理的価値――から全く引き離されて初めて問題となることが出来る。それは取りも直さず知識が充分にその歴史性[#「歴史性」に傍点]に於て捉えられなかったがためである。論理は元来――之こそ知識の性格であるが――歴史性に於て、歴史的原理を持つものとして捉えられていなかったのだから、この論理から歴史的原理を天引するということすらが彼の問題となることが出来ない。それ故論理は彼の知識社会学の興味の対象となることは出来ない、論理は当然に知識社会学の問題の圏外に逸して了わなければならないのである。知識社会学[#「知識社会学」に傍点]が論理学[#「論理学」に傍点]と全く無関係であ
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