ッ的」に傍点]なものと考えてみても、この下部構造と上部構造とを区別するものとして、この下部構造に於ける意識(一般的に之を代表者として)の物質的特色を指摘しなくてはなるまい。例えば衝動や本能[#「衝動や本能」に傍点](M・シェーラーやマクドゥーガル)は、これに基く精神的[#「精神的」に傍点]なものに対して、物質的と考えられている。――で下部構造がそうだとすれば、上部構造は、何か心的・観念的な性質によって特色づけられるのが当然である。だから人々は、この上部構造を捉えて、社会の「精神史」を描いたり、「文化史」や「文明史」を書こうとするのである。こうした云わば社会的なる精神、社会的人間の意欲の所産、この上部構造としてのイデオロギー、之は取りも直さずかの社会的意識[#「社会的意識」に傍点]を云い表わすに最も適切で普遍的な概念でなければならぬ。
イデオロギーの概念がマルクス主義によって見出されたために初めて、意識の問題は、生きた具体的な歴史的規定の下に、提出されることが出来る。――だがイデオロギーの概念はこう云っただけではまだ決して明らかではない。
イデオロギーと云う言葉は可なり不思議な意味
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