ソ的生産力による生産諸関係――それを人々は経済[#「経済」に傍点]関係とも社会[#「社会」に傍点]関係とも名づける――が、歴史的社会の全構築物(技術・経済・政治・法制・諸文化・諸観念を含んだ)に於て、終局の決定要因をなしている。この全構築物に於ける一切の作用の交互関係[#「交互関係」に傍点]は、この一方向きの規定関係によって、初めて統一的に組織的に秩序立てられることが出来る、と云うのである。さてこの社会に於ける生産諸関係が決定要因となって、この決定要因によって決定されるものを唯物史観乃至マルクス主義は広くイデオロギー[#「イデオロギー」に傍点]と呼ぶ。蓋し社会の全構築の基底をなすもの――下部構造[#「下部構造」に傍点]――が生産諸関係であり、それの上に依って立つ構築物――上部構造[#「上部構造」に傍点]――がイデオロギーだ、と一般的にまず規定しておいてよい。
処で社会の全構築に於て、今基底にあると云ったものは、単にマルクス主義に依ってばかりではなく、何かの意味で物質的なものと考えられているだろう。仮に之までをもなお心的[#「心的」に傍点]・観念的[#「観念的」に傍点]・意識的[#「意
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