ノ上ることが出来る。
[#3字下げ]二[#「二」は小見出し]
歴史的社会に就いての観念論に対して、だから吾々は、歴史的社会に就いての唯物論[#「唯物論」に傍点]を、史的唯物論[#「史的唯物論」に傍点]乃至唯物史観[#「唯物史観」に傍点]を、対立せしめねばならぬ。唯物史観は決して、ブルジョア・アカデミーなどに取っての議論や批判の対象となるために生れて来たものではなく、プロレタリア階級の生存闘争の武器として発達して来たものであるから、学位論文式な観点から之を弄ぶことは全く無意味であるだけに、それだけ実質的な生きた観点から把握しておくことが何時でも必要なのであるが、今は唯物史観の一般的な叙述は省こう*。必要なのは唯物史観による社会と意識――超個人的・歴史的・社会的意識――との関係である。
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* 唯物史観の輪郭に就いては拙稿「唯物史観とマルクス主義社会学」(岩波講座・『教育科学』【本全集第三巻所収「社会科学論」】)で取り扱った。
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マルクスが、『経済学批判』の序文に於けるかの唯物史観の公式で、最も簡単に示している通り、物
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