フ形而上学的[#「形而上学的」に傍点]な超越の結果であったために、依然として個人的な意識の範疇の外へ出ることが出来なかったが、前者の場合は之と異って、個人的意識が実際に超個人的な意識にまで超越したと、一応は見られねばならぬのである。
 凡ゆる意味に於ける文化[#「文化」に傍点]、広く理解された学術や芸術、又同じく広い意味での道徳や宗教まで入れて一切の文化は、従来こうした超個人的な意識という範疇によって理解され又取り扱われて来た。歴史主義[#「歴史主義」に傍点]や歴史哲学[#「歴史哲学」に傍点]、又文化哲学[#「文化哲学」に傍点]や文化社会学[#「文化社会学」に傍点]は、そうした超個人的意識の内容に関する学に外ならない。個人的意識[#「個人的意識」に傍点]は今や歴史的意識[#「歴史的意識」に傍点]に改変される。

 併し従来の所謂「歴史哲学」――それはドイツ観念論の嫡出子である――は、観念論的歴史観[#「観念論的歴史観」に傍点]を以て貫かれているのを特色とする、人々はこの点に注目せねばならぬ。だから又そういう「歴史哲学」の根本概念としての歴史的意識[#「歴史的意識」に傍点]も亦、おのずか
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