閧熬シさず、吾々がこの章で中心にしている当の問題に外ならない。
[#ここから2字下げ、折り返して3字下げ]
* 「階級社会に於ては、社会心理学的研究が、根本に於て、階級心(Klassenpsyche)の探究として把握されねばならない。」(I. Sapir 前掲論文)。
[#ここで字下げ終わり]
[#3字下げ]三[#「三」は小見出し]
吾々はブルジョア社会学――乃至心理学――で云う所謂「社会心理学」の問題へ移る。
ブルジョア科学に於ては、社会[#「社会」に傍点]に就いては社会学[#「社会学」に傍点]があり、意識[#「意識」に傍点]に就いては心理学[#「心理学」に傍点]が存在する。ブルジョア的世界観に於ける社会――ブルジョア社会――の概念と意識――個人的意識――の概念とは、吾々が最初に見た通り、容易に無条件に接合し得なかったにも拘らず、社会自身と意識自身とは云うまでもなく初めから密接に連関している。だから、ブルジョア科学に於ても、恰も、社会と意識とのこの連関を問題とする処の一つの科学が必要とならざるを得ない。それが社会心理学[#「社会心理学」に傍点]なのである。だからわが社会心理学は、云わば社会学と心理学との中間領域か交渉地帯かに位置するわけである。それ故夫は時には結局一つの社会学であり*、又時には言葉通り一つの心理学であり**、又時には社会学としての心理学とならねばならない***。
[#ここから2字下げ、折り返して3字下げ]
* この代表的なものは例えば、E. A. Ross の “Social Psychology”[#「“Social Psychology”」は横組み] であろう。
** [#横組み]McDougall “An Introduction to Social Psychology”[#横組み終わり] は結局、社会的本能[#「本能」に傍点]に研究を集中している。
*** 「集団心理学は全然社会学に外ならない」(E. Durkheim, Sociologie et Philosophie, p. 47)。
[#ここで字下げ終わり]
社会心理学の研究はそれ故、意識[#「意識」に傍点]の分析から出発するか、又は社会[#「社会」に傍点]の分析から出発するかのどれかである。処が多くの社会心理学はその名前が示す通り意識の分析から出発する一つの心理学だとし
前へ
次へ
全189ページ中165ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング