X。カントの突発的問題は新カント学派の既成的問題へ転化したと云ったならば人々はその言葉を許さないであろうか(但し問題の内容的価値がそれだけ減じたと云うのではない)。新カント学派という名称それ自身がそれを物語っている。エピゴーネンテュームの問題がどのような意味に於ても独創的でない、などと云うのではない。優れたるカント学徒によって独断的にではなく批判的に、そのまま受け取ったのではなくして多くのものから特に態々選出されたものである限り、この諸問題は充分に独創的であったであろう。ただ結局それがカントから、カントによって与えられた既成的なる問題の比較的単線的な攪拌乃至蒸溜から、生じたことに重心を有つ点には変りがない。カントを超越する(独創的である)ことは要するにカントを理解する(カント的問題を伝承する)ことに外ならなかった。この点に於て突発的問題では到底ないと云うのである。さて突発的問題から既成的問題へのこの転化を、転化として、即ち異った二項の間の一定の関係として、意識せしめる媒介は、恰もカント的立場[#「立場」に傍点]でなければならなかった。かくてカント学派的問題[#「問題」に傍点]――それは
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