攪_――何となればどのような理論も凡て何かの立場に立ち又はやがて立つのである――を通過して初めて発生する諸問題は、まず初めに歴史社会的に或る理論が存在し、この理論に基いて、例えばそれの解釈又は理解として、歴史的に発生すべく初めて動機づけられたものに外ならない。尤も与えられた立場に立った既成のこの理論も、その発生期に於ては或る一つの問題によって動機づけられたのであり、そしてこの動機が成り立った当時にあっては、その問題も独創的に見出されたのではあったであろう、けれども今云った諸問題は、この初め独創的であった一つの問題が既に一定の理論を産み、その理論的整合――それが立場であった――を経て、遂に与えられた問題となった暁に、之から惹き出された諸問題であるのである。「先天的総合判断は如何にして可能なりや」という問題が、仮にカントの独創的な問題であったとすれば、この問題[#「問題」に傍点]は例えば批判主義と呼ばれる立場[#「立場」に傍点]を経て、一つの与えられたる問題となり(「カントへ帰れ」)、この問題から多くのカント学派的問題が惹き出される。対象の認識と認識の対象との結び付け、価値と作用との関係等
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