普遍者に対する普遍者ならぬもの、之は形式的に――何か論理的に――特殊者[#「特殊者」に傍点]乃至個別者[#「個別者」に傍点]である*。特殊者乃至個別者は、理論的遺産の形式から見て、第二に有力な根本概念であろう。併し特殊者乃至個別者は如何にして普遍者から引き出される[#「引き出される」に傍点]か。
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* 人々はすぐ様ヘーゲルを連想してはならない。ヘーゲルの論理学は、従ってその普遍者と特殊乃至個別者は吾々にとって、より根本的な特別の関心を要求する。
[#ここで字下げ終わり]
 弁証法によるか演繹法によるか、それとも問題提出の仕方を全く逆にして、帰納法によるか、などを決めようとするのではない。そのような方法[#「方法」に傍点]は、論理に関する理論の又は単に理論の、手続きに属するから、前に示された通り、今の問題とは関係がない。そうではなくして、論理[#「論理」に傍点]の――理論[#「理論」に傍点]のではない――秩序に於て、普遍者から特殊者乃至個別者がどのようにして引き出されるか、を吾々は問うている。之を引き出す機能をもつ媒介者は個別化原理[#「個別化原
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