理」に傍点]に外ならない*。普遍者はそれ自身が個別化――之に加え又は之から差し引く――されることによって特殊者乃至個別者となる、と云うのである。個別化が目的とする終点は個物又はそれがもつ個性[#「個性」に傍点]と呼ばれる。個物[#「個物」に傍点](個性)の概念は、第三の根本概念として普遍者に対して反対的に働きつつ、従来の理論一般を形式的に支配しているであろう。
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* 個別化原理が時間であるとか空間であるとかは今は顧みない。之を形式的に理解すべきである。例えばドゥンス・スコトゥスのそれ。
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論理家とも呼ばれるべき傾向の人々にとっては普遍者が、之に反して所謂生命哲学者達にとっては個性が、尊敬すべく愛着すべき根本概念であるかのように見える。前者にとっては普遍者は疑うべからざる課題であり、後者にとっては個性が凡ての問題の解決を約束する合言葉であるかのように見える。蓋し両者は理論に於ける好話柄であるように見える。或る人々は如何なる思想家の思想に就いても普遍者を、他の人々は如何なる思想家の思想に就いても個性を、専らテーマとしようと
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