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[#地から9字上げ]京都
[#地から1字上げ]戸坂潤
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「性格」概念の理論的使命
     ――一つの計画に就いて――
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 性格[#「性格」に傍点]の概念は個性[#「個性」に傍点]の夫と似ているかのように見えるであろう、併し二つは全くその成立を異にした二つの概念である。初めにこのことを決めてかかろう。
 吾々が欲すると否とに関らず現に吾々が相続している理論的遺産に於て、最も遍在し最も有力な根本概念は、第一に普遍者[#「普遍者」に傍点]の概念であろう。蓋し一般に理論の構造を形式的に――何か論理的[#「論理的」に傍点]に――見るならば、この概念が中心的な勢力を占めることは当然である。というのは理論の一切の内容はただ普遍者と関係することによってのみ論理的であり得るのである。理論[#「理論」に傍点]の実際的な方法の上での順序は何であるとしても、論理[#「論理」に傍点]の秩序から云うならば、まず第一に普遍者が掲げられ、之から普遍者ならぬものが引き出される[#「引き出される」に傍点]、という形式が具わっている。
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