よって少しも事物としての性格を失わない筈である。それ故性格的概念は却って概念としての性格をもたない。ただこのような概念[#「概念」に傍点]に就いてのみ、ヘーゲルに倣って、事実的なるものは概念的である、と云われることが出来るであろう。吾々が日常生活に於て使用している概念――吾々の行動は常に或る意味での概念に依って行われる――は恰もこの種類の概念に外ならない。非性格的概念は之に反して事物とは異った性格――概念としての性格――を有っている。非性格的事物はそれ自身に通路をもたなかったから之に就くべき通路は事物以外のものから与えられる外はない。この通路を与えるものが非性格的概念である。この種類の概念は事物の代理者として、事物の性格とは独立に、概念という性格を有たなければならない。心理学的には表象[#「表象」に傍点]と考えられる処の、論理学に於ける所謂概念――論理学的概念――が之であるであろう。この種類の概念は常に論理的構成に於て発生するであろう。その最も純粋なるものが形式論理学乃至数学に於ける概念[#「概念」に傍点]に外ならない。事実このように理論的に構成された概念は人々によって抽象的[#「抽象
前へ
次へ
全268ページ中37ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング