れる。物理学が教えるのは、運動が弁証法的であるか否かではなくして、それよりも第一に、例えば絶対運動であるように見えるものが如何にして相対運動として把握され得るか、という種類のことである。かくして吾々は運動概念を二重に有つであろう。一般に自然的諸概念はこのようにして二重性を有つ。自然科学的知識から区別された自然概念は、それが特別な――自然[#「自然」に傍点]科学という――条件を通過しない意味に於て、直接に歴史的[#「歴史的」に傍点]概念であるということが出来、之に反して、自然科学が与える限りの自然概念は、特に歴史の対立者を内容とする自然科学を通過するから、却って自然的[#「自然的」に傍点]と考えられる。処が又他方、後者は自然科学という一定の歴史的存在を媒介するからそれだけ歴史的[#「歴史的」に傍点]でなければならず、これに反して前者は、自然を直接に――自然科学を媒介せずして――把握するから却って自然的[#「自然的」に傍点]でなければならない。さてこの二重性が、その様々な対立にも拘らず、同一な概念――例えば運動――に於て統一を有つのであった。
それであるから、自然科学に向って自然哲学的[
前へ
次へ
全268ページ中211ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング