践[#「実践」に傍点]に於てのみ意味を有つ概念である。性格のかの通路や方法は実は之を意味するのであった。
性格は実践的・方法的であると云った。日常の事物のどの性質が性格として択ばれるかは例えば人々の之に就いての理論的計画によると云った。理論的計画は人々の任意によって立てられるかのように見える。事実人々は或る成心を以て或る理論的結果を招くべく計画する時、事物はこの計画に合致すべく性格づけられる。例えば或る社会現象は、或る意味に於ては最も把握し易く又他の意味に於ては最も把握し難い。この日常的事物は、宗教家によって――彼は凡てを信仰に関係づけて理解しようとする実践的成心を持っている――信仰の欠乏として性格づけられ、又国民道徳家によって――彼は人間を常に絶対に国民であることに於て見なければならない実際上の必要があるのである――国家意識の欠乏として性格づけられる。かくてこの社会現象という事物は信仰又は国民意識の鼓吹によって実践的に処理され得るものと思い做される。そう想像することは実際彼等の自由であろう。彼等がその好む処に従って任意な性格を見出し、之によって事物を処理すべく努力することは許され
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