処が実はこのような具体的事物は人々がそれへ通達する通路――方法[#「方法」に傍点]――から切り離されている点に於て却って方法的には抽象的であるのである。事物を抽象することこそ具体的な方法である。それ故AがBを代表し得るのは人々が事物を抽象するからであり、そして人々はこの抽象によってこの事物を取り扱う具体的な方法を得ることが出来るのである。代表[#「代表」に傍点]の概念は常に方法[#「方法」に傍点]の概念から要求される。自己自身に安ろうている事物――このような概念は元来哲学的作業仮説でしかない――に於ては顕著なる性質Aがそうでない性質BC……と相隣りして席を占めていると思い做される、之に反して通路に於て把握された事物――人々はかくしてのみ事物を理論し又之を実際的にとり扱う方法[#「方法」に傍点]を得る――に於てはAはBC……を代表し得なければならない。事物の性質AがBC……を代表する時、顕著なるこの性質Aはその事物の性格[#「性格」に傍点]となるのである。代表は方法から要求された。代表者である処の性格はそれ故方法的[#「方法的」に傍点]規定を有つ。――性格はこの意味に於て通路を用意してい
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