らを他に渡すことであろう、それは自己の立脚地を忘れることであり、自己という地盤を遊離することである。地盤を遊離した存在は然るに、根柢[#「根柢」は底本では「根抵」]を欠いているという意味に於て、常に虚偽でなければならない。社会は根本的に云ってそれ自身一つの虚偽であり、真実なる自己――個人――からの堕落を意味する。であるからこの社会に於て存在する社会的論理は、理想としては無限に漸近線的に、個人的論理に近づいて行かなければならない当為を負わされている。真の論理[#「真の論理」に傍点]は個人的論理である。社会的論理は、それ自身虚偽[#「虚偽」に傍点]の論理[#「論理」に傍点]と考えられねばならない。かくて個人的論理に組織的に一定形態の虚偽を与えること自身が社会的論理という言葉の意味となって来る。社会の本質は個人的論理に社会論理的という一定形態の虚偽を原則的に与える処に、恰も成り立つのであった。タルドの思想を手懸りにすれば吾々は茲に来る。
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* La logique sociale, p. 63 参照。
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