持ち込まれ、重大さに於て質的な相違ある二つの要素を量的に――同格に――並立するかのように取り扱い、偶然なるものを必然であるかのように強い、本質的なるものと非本質的なるものとを混同し、事物の正面と側面とを捉え違える等々、一言で云うならば事物の性格[#「性格」に傍点]は――意識的にか無意識的にか――取り違えられるであろう(元来事物の性格は――その理解は――歴史的条件に基いて時代々々によって必然的に一定している、従って性格を把握しちがえることは、時代錯誤[#「時代錯誤」に傍点]の代表的なるものなのである)、理論の策略[#「策略」に傍点]から云って、事物の性格をこのように取り違えることが事実必要であったのである。かくて性格の蹂躙は、苦肉又は常套の、苦しき又は尤もらしき、奇矯又は俗流の、理論の権謀[#「権謀」に傍点]の条件となるためのものなのである。所謂政策に訴えなければならなかった歴史的状勢はこの没落的契機を、理論に於ける権謀性[#「権謀性」に傍点]として反映する。之が求める処の虚偽形態であった。――無論この権謀性は、政策が真理から離反した利害として、論理外の勢力となって働く処から由来する。併
前へ 次へ
全268ページ中163ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング