i化」に傍点]を通じての、科学の商品化[#「科学の商品化」に傍点]を意味するであろう。
 科学のジャーナリズム化が、科学の商品化であるなら、科学の価値がもはや真理でなくして利得となるという点の良し悪しは別としても、その利得すらがもはや大衆のもの[#「大衆のもの」に傍点]でないことは、注意されねばならない。のみならず、ジャーナリズムを産み又それから産れる処の、ジャーナリズムの顧客である公衆[#「公衆」に傍点]なるものが、元来大衆[#「大衆」に傍点]ではなかった*。実際、公衆――読者・読書界・聴衆・ファン・等々――は政治的な組織性[#「組織性」に傍点]を有つものではない、組織性を有たないものは大衆ではなかった。ジャーナリズムは往々想像される処とは異って、であるから決して大衆のもの[#「大衆のもの」に傍点]ではないのである。科学のジャーナリズム化は実際、その顧客である公衆なるものの性質を通じて、或る範囲或る時期の内では、大衆の組織化に与らないのではないが、一旦この限界に到着すると、この公衆の同じ性質を通じて、却って実質上は大衆の組織化を解体し、従って間接にまたは直接に、非大衆[#「非大衆」に傍点]――反大衆――の組織化に与る、そういう機能を有ちはしないか(今日代表的と考えられる大新聞や評論雑誌を見るが好い)。商品としての科学の顧客である公衆が、大衆を非大衆にまで裏切ることの出来る性質を、元来持つからである。――さて科学のジャーナリズム化がそういう一定の機能を営み出す時、そこに見出されるものは、大衆並びに非大衆の側に於ける科学の俗流化[#「俗流化」に傍点]であるであろう。俗流化という言葉は直ちに反価値を云い現わしている言葉であるが、その反価値とは、ジャーナリスティックな公衆を媒介として、大衆を大衆となす代りに之を非大衆にまで非大衆化[#「非大衆化」に傍点]し、かくして大衆を裏切る処の、一つの虚偽[#「虚偽」に傍点]を指す名であるだろう。科学のジャーナリズム化が商品化である限り、夫は科学の非大衆化にまで必然的に転化し得る性質を有っている。ジャーナリズム化――商品化――こそ科学大衆化の正反対物に外ならない。
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* 公衆に就いてはタルドの前掲書を見よ。
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 科学の大衆性の正反対物が、人々の想像する処とは異って、アカデミー――高踏化――であるよりも、寧ろジャーナリズム――俗流化――であることは、実際問題として特に注目に値する。

 科学の高踏化[#「高踏化」に傍点]とその俗流化[#「俗流化」に傍点]とは、科学の大衆化[#「大衆化」に傍点]の名に於て批判さるべき、二つの虚偽である*。夫を吾々は今までで見た。科学の大衆化という、この階級的[#「階級的」に傍点]啓蒙は、この二つの虚偽を――インテリゲンチャと有産者とに対して――批判することを以て、始めねばならぬ。そうした後になって初めて、科学大衆化の積極的任務が具体的な形で課せられ得るであろう。――さて今までの吾々はこの前半を取り扱った、科学の大衆化が何で無いか[#「何で無いか」に傍点]、を。次に後半を、科学の大衆化が何であるかを[#「何であるかを」に傍点]、改めて見よう。
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* 科学の通俗化・報道化・実際化・は之に反して虚偽[#「虚偽」に傍点]ではなかった。之等のものはそして、没階級的啓蒙[#「没階級的啓蒙」に傍点]であったことを注意せよ。
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 大衆性とは、大衆化とは、事物が単に普及されることではなくして、大衆がその事物の水準の高さにまで組織化されることであった。従って科学の大衆性とは、科学を大衆化すとは、大衆がその科学を把握し得るような水準にまで組織化されることである筈であった。科学[#「科学」に傍点]が大衆にまで降りて来ることではなくて、大衆[#「大衆」に傍点]が科学にまで昇って行くことが、科学の大衆化なのである。それ故科学の大衆性[#「科学の大衆性」に傍点]とは実は大衆の科学性[#「大衆の科学性」に傍点]でなければならない。この点は根本的に重大である。この意味を説明しよう。
 科学は云うまでもなく科学するものの存在[#「存在」に傍点]を離れては存在しない、であるから、科学は科学するものの存在を離れて考え[#「考え」に傍点]られてはならない。今科学の大衆性という問題に就いてはそれ故、単純に科学[#「科学」に傍点]をまず第一に語るべきではなくして、科学する大衆[#「大衆」に傍点]をまず初めに語る必要が生じて来る。科学があって科学の大衆性が問題になるのではなくして、大衆があって科学の大衆性が問題となるのである。科学せんとする大衆がまず存在して、その上で科学の大衆化が必
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