級性に臨むならば、その至極微小な公算・可能性が、何か特に重大な原理上の障碍であるかのように思われるのも尤もである。かくて第三階梯の階級性を検出[#「検出」に傍点]することの困難が、やがて之の存在を信じる[#「信じる」に傍点]ことの困難と混同されるのも強ち不自然ではなかったのである。自然科学の階級性に就いての困難の意識は、要するに茲に発生したものである。今もしそれ故、特に第四階梯から区別される限りの第三階梯の階級性を明らかに意識してかかるならば、自然科学の階級性は自明の事情として意識される筈である。困難と自明との意識の矛盾はこのような解消を結果する。
要約すればこうなる。第一・第二の階級性は、理論の単なる歴史的発生[#「単なる歴史的発生」に傍点]に関する。それは理論の真理価値の内容に関し、従って真理内容と無関係ではないが、その内容自身がそれの価値規定からは遊離して考えられている、之は名目上[#「名目上」に傍点]の階級性に過ぎない。之に反して第三・(第三′[#「三′」は縦中横])・第四の階級性は理論の単に歴史的のみならず、又論理的な保持と廃棄[#「論理的な保持と廃棄」に傍点]とに関わる。之こそ実質上[#「実質上」に傍点]の階級性である。併しその内でも第四のものは真理価値の原理的・必然的なる内容形態[#「内容形態」に傍点]に関わる、之に反して第三のものはその単なる[#「単なる」に傍点]・個々の・偶然な・内容[#「内容」に傍点]に関わる。第四のものは一般に per se なる階級性であり、之こそ優越なる意味に於ける階級性である。之に反して第三のものは一般に per accidens なる階級性に外ならない(そして第三′[#「三′」は縦中横]のものは、第三のものの更に per accidens なる階級性なのである)。――自然科学は第四の階級性を欠く、それ故、一般に階級性の性質[#「性質」に傍点]を明らかにするためには、自然科学という材料は適当ではない。併し科学一般に於ける階級性の存在[#「存在」に傍点]を指摘するためには、自然科学の階級性を見ることが必要であり適切である。そしてこの同じ言葉を吾々は恐らく数学に就いても繰り返して好いであろう。
終りに興味あることは、科学階級性の分析は、科学分類の一つの原理を提供し得るだろう、という点である。
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