良夜
徳冨蘆花

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)良夜《れうや》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)十五六|歩《ぽ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「虫+慈」、62−6]々《じゞ》

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)溶々《やう/\》として
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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良夜《れうや》とは今宵《こよひ》ならむ。今宵は陰暦《いんれき》七月十五夜なり。月清《つきゝよ》く、風《かぜ》涼《すゞ》し。
夜業《やげう》の筆を擱《さしお》き、枝折戸《しをりど》開《あ》けて、十五六|歩《ぽ》邸内《ていない》を行けば、栗の大木《たいぼく》真黒《まつくろ》に茂る辺《ほとり》に出《い》でぬ。其《その》蔭《かげ》に潜《ひそ》める井戸あり。涼気《れうき》水《みづ》の如く闇中《あんちう》に浮動《ふどう》す。虫声《ちうせい》※[#「虫+慈」、62−6]々《じゞ》。時々《とき/″\》白銀《しろがね》の雫
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