立ちて、一片の遺骨と一通の書と寂しき川島家に届きたり。骨《こつ》は千々岩の骨、書は武男の書なりき。その数節を摘みてん。
(([#この二重括弧は一文字、以下同様に使用、第3水準1−2−54、197−16]前文略))[#この二重括弧は一文字、以下同様に使用、第3水準1−2−55、197−16]
[#以下1字下げ]
旅順陥落の翌々日、船渠《せんきょ》船舶等艦隊の手に引き取ることと相成り、将校以下数名上陸いたし、私儀も上陸|仕《つかまつ》り候《そろ》。激戦後の事とて、惨状は筆紙に尽くし難く((中略))仮設野戦病院の前を過ぎ候ところ、ふと担架にて人を運び居候を見受け申し候。青|毛布《ケット》をおおい、顔には白木綿《しろもめん》のきれをかけて有之《これあり》、そのきれの下より見え候口もと顋《あご》のあたりいかにも見覚えあるようにて、尋ね申し候えば、これは千々岩中尉と申し候。その時の喫驚《きっきょう》御察しくださるべく候。((中略))おおいをとり申し候えば、色|蒼《あお》ざめ、きびしく歯をくいしばり居申し候。創《きず》は下腹部に一か所、その他二か所、いずれも椅子山《いすざん》砲台攻撃の際受け候
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