すのでした。少し読みかけて見たのですが、何だか変な事ばかり書いてありまして、まあそのままにうっちゃって置いたのでした。
 それから翌年《よくとし》の春、姑はふと中風《ちゅうふう》になりましてね、気の強い人でしたが、それはもう子供のように、ひどくさびしがって、ちょいとでもはずしますと、お清《きよ》お清とすぐ呼ぶのでございますよ。そばにすわって、蠅《はえ》を追いながら、すやすや眠る姑の顔を見ていますと、本当にこうなるものをなぜ一度でも心に恨んだことがあったろう、できることならもう一度丈夫にして、とそうおもいましてね、精一杯骨を折ったのですが、そのかいもないのでした。
 姑が亡くなりますとほどなく良人が帰朝しましてね。それから引き取るというきわになって、父も安心したせいですか、急に病気になって、つい二三日でそれこそ眠るように消えました。もう生涯会われぬと思った娘には会うし、やさしくしてくれるし、自分ほど果報者はないと、そう申しましてね。――でも私は思う十分一もできませんで、今でも思い出すたびにもう一度|活《い》かして思う存分喜ばして見たいと思わぬ時はありませんよ。
 それから良人は次第に立身
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