がけずといわんがごとく、主人の中将はその体格《がら》に似合わぬ細き目を山木が面《おもて》に注ぎつ。
「はあ?」
「実は川島の御隠居がおいでになるところでございますが――まあ私《わたくし》がまかりいでました次第で」
「なるほど」
山木はしきりににじみ出《い》づる額の汗押しぬぐいて「実は加藤様からお話を願いたいと存じましたンでございますが、少し都合もございまして――私《わたくし》がまかりいでました次第で」
「なるほど。で御要は?」
「その要と申しますのは、――申し兼ねますが、その実は川島家《あちら》の奥様浪子様――」
主人中将の目はまばたきもせずしばし話者《あなた》の面《おもて》を打ちまもりぬ。
「はあ?」
「その、浪子様《わかおくさま》でございますが、どうもかような事は実もって申し上げにくいお話でございますが、御承知どおりあの御病気につきましては、手前ども――川島でも、よほど心配をいたしまして、近ごろでは少しはお快い方《かた》ではございますが――まあおめでとうございますが――」
「なるほど」
「手前どもから、かような事は誠に申し上げられぬのでございますが、はなはだ勝
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