笑を帯びて「なおりますわ、きっとなおりますわ、――あああ、人間はなぜ死ぬのでしょう! 生きたいわ! 千年も万年も生きたいわ! 死ぬなら二人で! ねエ、二人で!」
「浪さんが亡くなれば、僕も生きちゃおらん!」
「本当? うれしい! ねエ、二人で!――でもおっ母《かあ》さまがいらッしゃるし、お職分《つとめ》があるし、そう思っておいでなすッても自由にならないでしょう。その時はわたくしだけ先に行って待たなけりゃならないのですねエ――わたくしが死んだら時々は思い出してくださるの? エ? エ? あなた?」
武男は涙をふりはらいつつ、浪子の黒髪《かみ》をかいなで「ああもうこんな話はよそうじゃないか。早く養生して、よくなッて、ねエ浪さん、二人で長生きして、金婚式をしようじゃないか」
浪子は良人《おっと》の手をひしと両手に握りしめ、身を投げかけて、熱き涙をはらはらと武男が膝《ひざ》に落としつつ「死んでも、わたしはあなたの妻ですわ! だれがどうしたッて、病気したッて、死んだッて、未来の未来の後《さき》までわたしはあなたの妻ですわ!」
五の一
新橋停車場に浪子の病を聞きける時、千々岩
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