馬上三日の記
エルサレムよりナザレへ
徳冨蘆花

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)大工場《だいくば》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)八年以前|独逸《どいつ》皇帝が

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]クトリア

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)いよ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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    車上

 六月四日、エルサレムを立ち、サマリヤを経てガリラヤに赴かんとす。十字架よりナザレの大工場《だいくば》へ、即ち四福音《しふくいん》を逆に読むなり。
 エル・ビレエにてエルサレムに最後の告別をなし、馬車はいよ/\北へ走る。車中には案内者一名載せたり。名はフィリップ・ジヤルルック三十八九、シリヤ人にしてクリスチアンなり。此馬車道は、八年以前|独逸《どいつ》皇帝が土耳其《とるこ》領内遊歴の折修繕したるものとか。独帝の漫遊以来パレスタインに於ける独逸人の
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