ーフに左の出たらめを書きつけた。
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林檎|朱《あけ》に榲※[#「木+孛」、第3水準1−85−67]《まるめろ》黄なる秋の日を
    岩木山下《いはきさんか》に君とかたらふ
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 あくる朝は早く板柳《いたやな》村を辭した。岩木川の橋を渡つて、昨夜會面した諸君に告別し、Y君の案内により大急ぎで舞鶴城へかけ上り、津輕家祖先の甲胃の銅像の邊から岩木山を今一度眺め、大急ぎで寫眞をとり、大急ぎで停車場にかけつけた。Y君も大鰐《おほわに》まで送つて來て、こゝに袂を分つた。余等はこれから秋田、米澤、福島を經て歸村す可く汽車の旅をつゞけた。



底本:「現代日本紀行文学全集 北日本編」ほるぷ出版
   1976(昭和51)年8月1日初版発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
※底本では作者名を「徳富蘆花」としています。
入力:林 幸雄
校正:門田裕志、小林繁雄
2005年8月20日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.
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