こんい》で、つい先月も遊びに往って来ました」
と云って、主は戸棚《とだな》から一括《いっかつ》した手紙はがきを取り出し、一枚ずつめくって、一枚のはがきを取り出して見せた。まさしく其人の名がある。
「かみさんも一緒《いっしょ》ですかね?」
 実は彼は内地の郷里に妻子を置いて、渡道《とどう》したきり、音信不通《いんしんふつう》だが、風のたよりに彼地で妻を迎えて居ると云うことが伝えられて居るのであった。
「エ、かみさんも一緒に居ます。子供ですか、子供は居ません。たしか大きいのが満洲《まんしゅう》に居るとか云うことでしたっけ」
 案外早く埒《らち》が明《あ》いたので、余は礼を云って、直ぐ白糠《しらぬか》へ引かえした。
「分かってようございました。エ、彼《あの》人《ひと》ですか、たしか淡路《あわじ》の人だと云います。飯屋《めしや》をして、大分儲けると云うことです」と案内者は云うた。
 白糠の宿に帰ると、秋の日が暮れて、ランプの蔭《かげ》に妻児《さいじ》が淋しく待って居た。夕飯を食って、八時過ぎの終列車で釧路に引返えす。
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      北海道の京都

 釧路で尋ぬるM氏に会って所要
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